宇宙産業は、以前には想像もつかなかった規模で発展を遂げています。
宇宙産業の技術は遠い存在のように思えますが、
実際には私たちの身近なサービスと関連しています。
今回は、投資でも関心が高まっている「宇宙ビジネス」についてです。
今回は宇宙産業について調べていきましょう。
ケントくん、ユウトくん、宇宙産業について、どんなイメージを持っていますか?
普段考えないけれど・・・、ロケットで月に行くとか?
宇宙で科学実験しているイメージが強いです。
でも、あまり身近ではないですよね。
宇宙産業は、じつは最近注目が高まっていて、投資の観点からも期待が高まっています。
宇宙産業は、私たちの日常生活に密接に関連していて実はかなり身近です。
えっ、そうなの?
まずは、私たちが身近で使用している製品について解説していきますね。
宇宙産業で受けている身近な恩恵
衛星通信
衛星通信は、地球上の通信インフラを補完する役割を果たします。
テレビ放送、インターネット、携帯電話など、私たちが日常的に利用している通信サービスでも、衛星を介して提供されているものもあります。
最近では、低軌道衛星を使った高速インターネット通信サービスも話題です。
低軌道衛星通信とは
低軌道衛星(高度約550kmを飛ぶ非静止衛星のこと)を使った高速インターネット通信のこと。
地上側に専用アンテナを設置するだけでインターネット通信が利用できます。
山間部や海上など通常ではネット環境構築が困難なエリアでも安定した利用が可能になるほか、災害時など緊急時のバックアップ回線としても期待されています。
アメリカの航空宇宙メーカー「スペースX」のStarlink(スターリンク)が有名です。
衛星ナビゲーション
衛星ナビゲーションは、GPSなどの位置情報サービスを提供します。
GPSは、車のナビゲーション、スマートフォンの地図アプリ、ウェアラブルデバイスなどで利用されています。
これらの正確な位置情報を提供するために衛星を活用しています。
気象予報 衛星観測
気象衛星は、台風の追跡や気象データの収集に欠かせません。
私たちの日常生活に影響を与える天候情報を提供しています。
衛星観測は、地球規模の環境モニタリングや気象予測に使用されます。
ほんとうだ。
身近なサービスでいっぱいだね。
ぼくたちが毎日使うスマホのサービスも、衛星なしでは成り立たないんですね。
宇宙産業は、私たちの生活に欠かせないものを提供してくれていて、投資家にとっても魅力的な分野なのです。
宇宙ビジネスの現在
投資初心者でも、基本的な知識から少し詳しい情報まで、宇宙ビジネスについて学ぶことはとても大切。
将来の投資判断に役立てることができます。
それでは、宇宙ビジネスについてみていきましょう。
知っている、いないで社会の見方がかわりそうだね。
宇宙ビジネスで社会問題を解決
宇宙ビジネスは、社会課題の解決と経済成長のための重要な産業とされています。
ビジネスではもちろんのこと、安全保障上も重要な領域であり、宇宙産業における研究開発への投資は経済社会の発展に繋がると考えられています。
宇宙開発はこれまで官主導で発展し、ビジネスも官需中心に成り立ってきました。
たしかに。
宇宙開発っていうと、国が威信をかけて行うってイメージあります。
最近では多くのスタートアップ企業が登場し、民間中心にさまざまな事業が生まれています。
世界的に有名なスペースXやブルーオリジン、日本でもインターステラテクノロジズなどは有名ですね。
いまは民間企業でも壮大なプロジェクトを行っているんだね。
宇宙事業の将来性
宇宙産業は第4次産業革命を推進する駆動力となっています。
成長産業を創出するだけでなく、国家の安全保障上でも重要視されています。
宇宙産業は2040年に世界で現在の3倍以上の約150兆円に成長することが期待されています。
150兆円ってすごいね!
もはやどれくらいなのかイメージがわかない・・・。
第四次産業革命とは
- AI
- ロボット
- ブロックチェーン
- ナノテクノロジー
- バイオテクノロジー
- 量子コンピュータ
- IoT
- 3Dプリンター
など、多岐にわたる分野の技術融合を特徴とする。
これらの技術革新により、データ化や分析・活用、自動化などが進んでいく産業革命のこと。
ひとつでもすごい技術なのに、技術融合されると想像を超えたサービスが生まれそうですね。
宇宙戦略基金
日本も宇宙戦略基金の創設で、国内の宇宙関連市場を2030年代早期に8兆円まで拡大させることを目標に掲げています。
宇宙戦略基金
JAXAを通じて民間企業や大学の宇宙分野の先端技術開発、技術実証、商業化を支援するために設置された基金。
支援分野は
- 宇宙輸送
- 衛星
- 宇宙科学・探査
の大きく3つ。
宇宙戦略基金については、内閣府がwebサイトで公開している宇宙政策のページで見ることができます。
日本にもがんばって欲しい!
宇宙事業を行っているグローバル企業
宇宙事業を行っているグローバル企業の一部を紹介します。
スペースX (SpaceX スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)
設立と目的
- 設立者
電気自動車(EV)メーカーテスラで知られるイーロン・マスク氏 - 目的
火星の植民地化を可能にするための宇宙輸送コストの削減 - 事業内容
航空宇宙メーカー
宇宙輸送サービス
衛星インターネットアクセスプロバイダ
主要製品
ロケット、宇宙船ドラゴン、衛星スターリンク(衛星インターネットアクセスを提供)を開発している
- ファルコン9
世界初の商用ロケットの再使用を実現。実際に回収したロケットを再使用し、半分以下のコストでの打ち上げを実現しています。 - ファルコンヘビー
大型ロケットで、太陽周回軌道にも商用ロケットとして初めて打ち上げ。 - スターシップ
完全に再利用可能なロケットで、火星植民計画や衛星打ち上げ市場を見据えて開発中。
実績
- 有人宇宙船
2020年にクルードラゴンで国際宇宙ステーション(ISS)に到達。アメリカでは5機目の有人宇宙船。 - 再使用技術
ファルコン9の垂直着陸や回収したロケットの再使用に成功。 - 衛星インターネット
スターリンクで世界最大の衛星コンステレーション事業者に。
ブルーオリジン(Blue Origin)
設立と目的
- 設立者
Amazon.comの創業者であるジェフ・ベゾス氏。 - 事業内容
民間資本で宇宙旅行を安価かつ信頼性高く実現する技術を開発。
ロケット技術開発
- ロケットを動力とした垂直離着陸機 (VTVL) の技術を開発中。
- 有人宇宙飛行の安全性向上と輸送費用の低減を目指す。
主要製品
- ニューシェパード
弾道飛行用の打ち上げシステムで、乗員カプセルとロケット動力推進モジュールから構成されています。世界初の有人宇宙旅行にも成功。 - ニューグレン
有人宇宙船(軌道周回宇宙船)。
再使用型1段ブースターは弾道飛行して通常の多段式ロケットのように垂直に離陸する。 - 月着陸船の開発
月・惑星探査を想定したロケット開発もしているのではないかと推測されている。
ヴァージン・ギャラクティック (Virgin Galactic)
設立と目的
- 設立者
ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソン氏。 - 事業内容
再使用可能な宇宙船「スペースシップツー」の開発。
宇宙旅行ビジネス。
商業宇宙旅行
- 2023年6月より宇宙旅行の商業飛行を開始。
日本における公式代理店はクラブツーリズム・スペースツアーズ。 - 世界初の民間人を乗宇宙遊覧飛行に成功。
宇宙探査と有人飛行の分野で革新的な技術を提供している。
他にも世界中で、宇宙事業に参入しているグローバル企業はたくさんあります。
日本の宇宙産業企業
宇宙事業で有名な日本企業はないの?
なんか悔しい!
もちろん、日本にも宇宙事業に参入している有名企業はたくさんあります。
みんなが知っている有名企業も宇宙事業に参入しています。
インターステラテクノロジズ
日本の宇宙の総合インフラ会社
堀江貴文氏が手掛けるロケット事業としても知られている。
民間ロケット開発を行っており、観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO3号機」を打ち上げて宇宙空間到達に成功。
現在は超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」、
小型衛星コンステレーション用大型ロケット「DECA」を開発中。
コンステレーション(星座)システム
多数の小型人工衛星を軌道上に打ち上げ、一体的に運用するシステム。
多数の衛星で地球全体をカバーできるため、通信サービスや地球観測サービスなどを効率的に実現することが可能。
QPS研究所
小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発、製造、画像データ販売を行う
九州大学発のスタートアップ企業。
九州大学の小型人工衛星開発技術をベースに、宇宙技術開発を行っている。
- QPS-SAR衛星の開発
QPS研究所は世界トップレベルの高精細小型レーダー衛星「QPS-SAR」を開発。
この衛星は、夜間や天候不良時でも任意の対象を高分解能・高画質で観測できるSAR画像を提供する。 - 衛星コンステレーションの構築
現在は商用機2機を運用しており、2027年度までには24機体制、最終的には36機による衛星コンステレーションを構築する計画。
これにより、世界中のほぼどこでも特定地域を平均10分間隔で観測できる「準リアルタイムデータ提供サービス」を目指す。
SAR衛星
マイクロ波レーダーを使って地表の形状や性質を画像化する人工衛星。
悪天候や夜間でも観測でき、土木・建設、インフラ業界では地形調査や災害対策などに活用されている。
SAR = 航空機や人工衛星に搭載される特殊なレーダー。
アストロスケールHD
スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去サービスなどを行うための研究開発を行っている
現在は4つの軌道上サービスの研究開発を行う。
- 衛星修了時のデブリ防止のための除去サービス
- 既存デブリの除去サービス
- 延命サービス
- 故障機や物体の観測・点検サービス
ispace
月面着陸に挑戦した企業
新型ランダー「APEX1.0ランダー」と「Series 3 Lander(仮称)」を開発中。
月面へのペイロード輸送を目指している。
月面へのペイロードとは
宇宙船やロケットに搭載されて、月の軌道に投入される貨物や装置のことを指す。
人工衛星、科学機器、探査機、サンプル回収装置、通信機器などが含まれる。
これらのペイロードは、月面での観測、探査、通信、科学研究などの目的で利用される。
キャノン電子
精密機器技術や光学技術を活かし、宇宙事業を展開
- 超小型人工衛星の販売
自社開発の超小型人工衛星を販売。
地球表面や宇宙空間の写真を高解像度で撮影し、リモートセンシング(センサー技術によって物体に触れずに、温度や大きさなどの状態を調べること)や防災活動などに活用されている。 - コンポーネント(部品・構成要素)の販売
放射線耐性を備えた民生部品や光学素子、分光素子などを提供。
人工衛星の内製化や量産化に向けて重要な役割を果たしている。 - 撮影データの販売
キヤノン電子が開発した超小型人工衛星は、地球表面や宇宙空間の写真を高解像度で撮影できる。
これらの画像データは、防災や農業など多彩な分野で活用されている。
スカパーJSAT
日本で初めて人工衛星を打ち上げた民間の衛星通信事業者
宇宙事業では、航空機・船舶向けインターネット回線や、災害時のバックアップ回線など様々な衛星通信サービスを提供。
国内外の衛星通信サービスや衛星画像・情報分析サービスなど、多様な宇宙ビジネス領域においてサービスを行っている。
セック
先進的宇宙機搭載ソフトウェアに関する研究を行い、宇宙分野において幅広い技術アプリケーションを提供
宇宙先端システムのビジネスフィールドで、科学衛星搭載エンベデッドシステム、惑星探査機搭載エンベデッドシステム、デブリ除去衛星搭載エンベデッドシステム、国際宇宙ステーションきぼう日本実験棟関連システムなどを手がけている。
エンデベットシステム
製品やシステムの一部として動作する、特定のタスクに特化した組み込みシステム。
例えば、テレビ、デジタルカメラ、携帯電話、カーナビ、ロボットなどの電子機器に組み込まれている。
エンベットシステムは、パソコンのような汎用的なコンピュータとは異なり、その機器専用のコンピューターシステムとして動作する。
IHI
日本のジェットエンジン生産の約7割を担うリーディングカンパニー
航空エンジンやロケットシステム・宇宙利用、防衛機器システムなどを手がけている。
宇宙開発分野ではロケットエンジンの開発・製造を行っている。
三菱重工業
航空機や航空機用エンジン、ロケット用エンジン、衛星用機器などの宇宙開発の関連製品も手掛けている。
エネルギー業界で活動しており、火力発電や原子力発電、風力発電のプラントなどのエネルギー関連製品を製造している。
川崎重工業
航空機やエンジンなどの輸送機器関連製品およびプラント設備などの製造・販売を行っている。
航空機の開発や製造、ジェットエンジン、航空関連設備の製造も担当している。
夢の技術と思っていたようなものが、すでに日常の一部となっていたことに驚きました!
無限大と思えるような可能性を秘めた宇宙産業。
SF映画でしか見られなかったような未来も、近づいている感じがしますよね。
投資の勉強を通して新しい産業のことを知ると、なんだか未来を覗き見している気分になるね!
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