自社株買いの基本概念から 仕組み、株価に与える影響、そしてそのメリットとデメリットについて
投資初心者に向けに分かりやすく解説します。

ニュースで耳にする「自社株買い」ってなんなんですか?

そうそう。発表があると株価がググっと上がることが多いよね。

それでは今回は、「自社株買い」の基本概念から仕組み、株価に与える影響などについて解説していきます。
自社株買いの基本概念

そもそも、「自社株買い」ってなに?

自社株買いとは、
企業が市場で発行済みの自社株式を買い戻すことです。
つまり、企業が保持している余剰資金を使って自社の株を購入し、流通している株式数を減らす施策です。

それって、なにか良いことがあるんですか?

株式の需給バランスが変化することで、残りの株の価値向上が期待されます。
以下に、簡単に説明をまとめますね。
自社株買いが株価に与える影響
企業価値の向上 株式の買い戻しによって市場に流通する株式数が減少することで、1株あたりの利益(EPS)が向上します。
EPSの上昇は、株価の上昇要因となるため、長期的には企業全体の価値が上がる効果が期待されます。
EPS=1株当たり純利益
読み方は「イーピーエス」、正式名称は「Earnings Per Share」
Earnings = 収益・利益
Per = あたりの(÷)
Share = 株
EPS =当期純利益 ÷ 発行済み株式総数
EPSは収益力の指標
株主が保有している1株に対して、企業が稼いだ利益額を示す。

例:純利益100万円、発行済株式総数10株の場合、EPSは 100万円÷10株=10万円 となる

EPSの計算式は、
当期純利益 ÷ 発行済み株式総数
自社株買いをすると、発行済株式総数が減少するから、EPSがあがるんですね。

例えば、上の例の場合で、
自社株買いで2株 減少する場合なら、
EPSは
100万円÷8株=12.5万円
になります。

でも、それでなんで株価が上がるの?

PERを考えるとわかりやすいです。
PERは「Price Earnings Ratio」の略。
株価収益率を意味します。
PERは株価をEPS(1株当たり純利益)で割って算出されます。
PER = 株価 ÷EPS
仮に株価が15,000円、EPS1,000円の場合、以下のように計算します:
( 株価÷EPS = PER)
15,000円÷1,000円 = 15倍

自社株買いで、発行済株式総数が減ると、まずEPSが上がります。
PER = 株価 ÷EPS
ですので、組み替えると
株価=EPS × PER
の関係になります。

そうか。
PER(株価収益率)の数値が変わらず、EPS(1株当たり純利益)が上がるとすれば、株価が上がることになるのか!

そのとおりです。
株主への還元で、すぐに思いつくのは配当金ですが、自社株買いも株主に対する還元策として用いられます。
株式が買い戻されると、残りの株式の価値が相対的に高まるため、株主にとっては間接的な利益還元となります。
👇🏻EPSとPERについて詳しく知りたい方は
こちらもどうぞ。

まとめ
- 自社株買いによる EPSの向上
EPS(1株当たり利益)の増加 株式の買い戻しで発行済み株数が減少すると、企業の純利益を残る株数で割る計算となるため、EPSが上昇します。
EPSの向上は、企業の収益性の改善を示す指標として市場から評価され、株価にもプラスの効果が現れます。 - 企業価値を高めるメカニズム
自社株買いの結果、EPSが改善されることで、投資家やアナリストからの評価が高まります。
これは、潜在的に企業の内在的な価値が上がったと判断され、長期的な株価上昇につながると考えられます。
余剰資金の活用 企業が余剰資金を抱えている場合、その資金を株主や投資家のために有効活用する手段として自社株買いは選択されます。
資金を成長戦略や投資に回すべきか、株主還元に回すべきか迷った際に、自社株買いは合理的な活用方法といえます。

自社株買いのメリットとデメリット

良いことばかりみたいだけれど、デメリットはないの?

当然のことながら、デメリットもあります。
自社株買いのメリットとデメリットをまとめますね。
メリット
株主への還元力強化
株主還元の強化 自社株買いは、配当政策に代わる株主還元策です。
株価の上昇を通じて株主に利益をもたらすため、株主への還元力を強化する効果があります。

さっき説明があった部分ですね。
株価の下支え効果
株価の安定化 市場で自社株を積極的に買い入れることで、株価に下支えが働き、急激な値下がりを防ぐ役割を果たします。
長期的な安定性を求める投資家にとっては、安心材料となります。

株価の上昇だけでなく、下支え効果もあるのは なんで?

自社株買いは、その企業が高値で一気に買いに来るのではなく、株価が下がっているところでジワジワと買ってくるパターンが多いです。
なので、結果的に、株価が下がっても自社株買いで買い支えられて、下落が止まる効果が出ることがあります。

心理的にも安心感が出ますね。
市場の信頼感を高める効果
信頼性の向上 企業が自社株買いを行うことで、自社の将来性や現状に自信を持っているというメッセージが市場に送られます。
これは、投資家や市場全体からの信頼感を高める効果も期待できます。

「自信を持っているというメッセージ」ってどういうこと?

自社の株を買うということは、
「今の株価は自分たちの考える企業価値より安く見積もられています。
なので、割安な今、自分たちの株価を買い戻します。」
ということになります。
つまり、将来の業績への自信の表れであるというメッセージになります。
デメリット
資金の流動性低下
大規模な自社株買いは、企業の手元資金が減少するリスクを伴います。
必要な投資や事業拡大のための資金が不足する可能性があり、経営戦略全体に影響を及ぼす危険もあります。
短期的な利益重視のリスク
自社株買いが一時的な株価上昇をもたらす一方で、長期的な成長戦略を犠牲にする場合があります。
市場の短期的な評価に依存しすぎると、企業の本来の価値とは乖離した値動きが生じるリスクがあります。

利益を自社株買いに使うということは、その分事業に使える資金が減少するということになります。
これは、企業成長を考えるとデメリットになります。

株主としても、長期的に見れば利益は成長するために使って欲しいってことですね。
買い戻しのタイミングの難しさ
市場の状況や企業の業績に応じて、最適な買い戻しのタイミングを見極めることは容易ではありません。
タイミングを誤ると、逆に資金効率が悪化する可能性もあるため、慎重な判断が求められます。

タイミングを見極めるのも難しいうえに、
それをするためのコストもかかるしね。

自社株買いにはメリットだけではなく、資金効率や短期的なリスクなどデメリットも存在するため、企業側も慎重な判断を行う必要があります。