FIRE(ファイア)とは
“資産を作って、その資産から生まれるお金で生活をしよう”
というものです。
資産運用の目標をここに置く人も多いですね。
FIREの条件や種類、4%ルールの解説やトリニティスタディー、
失敗への対策なども紹介します。
FIRE(ファイア)ってなんなのさ?
2人はFIRE(ファイア)という言葉を聞いたことはありますか?
ファイア?なんか燃やすの?
物騒な感じだね。
火を意味するファイアでななく、今回は資産運用における
ファイアを解説していきます。
ファイアとは、
FIRE=Financial Independence, Retire Early
(ファイナンシャル インデペンデンス、リタイア アーリー)
の頭文字をとったものです。
日本語で言えば、“経済的自立”と、“早期退職”ですね。
どういうこと?
要するに、
“資産を作って、その資産から生まれるお金で生活をしよう”
というものです。
資産運用の目標をここに置く人も多いですね。
なんかいいね。
遊んで暮らすってことか!
あながち間違いではないのですが、本質は少し違います。
ここは大切なことですので、あとで詳しく説明しますね。
そうなんですね。お願いします。
FIREムーブメントの背景
ますは、FIREムーブメントの背景から説明しますね。
FIREムーブメントは、2010年代から大きな注目を集め、ブログ、ポッドキャスト、SNSなどで情報が広まり、特にミレニアル世代などに人気が高まりました。
ミレニアル世代?なにそれ。
ミレニアル世代とは、1981年から1997年の間に生まれた人のこと。
年齢だと、2024年時点で27歳から43歳を迎える世代です。
ぼくらより少し上ですね。
そう。
ちなみに、きみたちはZ世代といわれる世代ですね。
経済的自立と早期退職を目標とするライフスタイルは、日本でも最近ブームです。
アメリカから始まって欧州や日本などにも広がりました。
世界中みんな憧れるライフスタイルなんですね。
なんだかオレも憧れちゃう。
FIREの考えで大切なこと
私はFIREの考えで大切なことは、“経済的自立”と“早期退職”のどちらに重きを置くかだと思います。
どういうこと?
これは人それぞれだと思いますが、
自分の資産から得られる収入で暮らし、働くことそのものから早期に解放されたいという考え方。
毎日満員電車に揺られて出勤し、半強制的に働かされるような働き方から解放され、自分の好きなことを仕事にして生活をしていきたいという考え方。
他にもいろいろな考え方があると思います。
ただ、1点共通していることは、
経済的に自立した状態を保つことで“自由を得る”
ということ。
この“自由を得る”ことこそ、資産運用をする一番の目的だと私は考えます。
そうだね。
“自分の人生の主人公になれ”とかの言葉はよくいわれるけれど、
そのためにはお金は重要な要素だもんね。
その通りです。
FIREについては、“早期退職”の方がクローズアップされて紹介されることも多いのですが、本質は“経済的自立”の方だと私は思います。
経済的な自立を確保すれば、自分らしい生き方がより選択しやすくなります。
お金がなくても生き方を選択することはもちろんできると思います。
ですが、より良い選択肢を選ぶため、またはその勇気を出すためには、やはり経済的余裕を必要とする人は多いのではないでしょうか。
けっこう深い話なんだね。
次は、FIREを実現するための条件を解説しますね。
🙂FIREの条件
さて、FIREの条件について解説していきます。
まず、いままでのおさらいです。
FIREとは、経済的自立と早期リタイアを目指すこと
でしたね。
そうそう。
今度は条件に付いて教えてくれるんだよね。
そのFIREを達成するために必要な資産を考える際、目安になるのが「4%ルール」という考え方です。
4%ルール?
なんの4%ですか?
もしかして、決められたルールのうち4%くらい守れれば、まあ なんとかなる ってことじゃね。
それって、ほとんど守れていないじゃん!
このルールは、年間の生活費の25倍の資産を貯めて、その資産を年4%以上で運用。
FIRE達成後の生活をこの4%の収入で回すことで、資産を減らすことなく生活する
というものです。
なるほど。
でも、なんで25倍なの?
計算上年利4%で運用してその額を“必要な生活費”とする場合、その“必要な生活費”と“運用で増える額”がイコールとなる金額が“必要な生活費×25(倍)”となるからなのです。
つまり、理屈上元本を減らさず運用できるというわけです。
もとのお金を減らさずに生活できるってことですね。
たとえば、年間300万円 の生活費とする場合、
300万円×25倍=7,500万円
FIREするために7,500万円の投資額が必要。
年間400万円を生活費とならば、
400万円×25倍=10,000万円(一億円)
FIREするために1億円の投資額が必要となりますね。
いち・・・、いちおくえん・・・。
ふつうにムリじゃん
そうですね。ムリということはないのですが、難しいことは確かだと思います。
なので、最近は少し違う形のFIREが考えられています。
このことは、またあとで解説しますね。
トリニティ スタディについて
ところで、この4%という数字はどこからきているのさ。まさか、適当?
適当ではないですよ。これはアメリカの「トリニティ スタディ」という有名な論文がもとになっています。
これは、株式と債券を含むポートフォリオからの「安全な引出し率」を究明しようとした研究でした。
トリニティ?また変な名前がでてきた。
ヒーローの名前みたい。
これは大学の名前で、トリニティ大学の3人の教授による論文の愛称です。
この研究の結果を簡単にいうと、”米国株式と米国社債を50:50で持ち、毎年4%ずつ取り崩した場合、30年後にも高確率で資産が残っている”というものです。
ほほう。
トリニティ スタディ自体はかなり古い研究なのですが、近年再度シミュレーションし直されていて、そのときは債権部分を社債ではなく米国国債に変更しています。
新しいシミュレーションでもほとんど同様の結果がでたので、現代でも通用すると考えられています。
好景気、不景気があるので、どの年からの30年間であるかで残金が変わってくるわけですが、中央値ではなんと残金は減るどころか大きく増えていたそうです。
スゴッ!
4%ルール 失敗の対策とは?
でもさ、失敗もあるってこと?
確率は低いのですが、失敗もあります。
失敗するパターンは開始の直後に大暴落が起きたタイミングのときで、いきなり資産が目減りした場合がほとんどだったとのことです。
なので、現実ではそのようなことが起きた場合にそなえて対策も必要ということですね。
対策って何をすればいいの?
もしもの暴落に備えて、1年~1年半分程度の生活資金を別途現金で用意しておくのが有効です。
どんな不景気でもいままでのパターンですと、だいたい1年半あれば回復し始めることがほとんどです。
そのため、開始直後に暴落した場合はこの緊急資金を使用してその間は資産を取り崩さないことが重要となります。
そっか。つまりは、開始タイミングをずらすということですね。
その通りです。
また、FIREにおける4%ルールの場合は、実際は6%の年利で資産を増やす前提になっていて、4%は取り崩し、2%はインフレの影響を踏まえておく、という考え方をする人も多いですよ。
注意点としては、トリニティ スタディでは、利益部分にかかる税金が加味されていないことや、日本での資産運用では為替変動も考えないといけないことも忘れてはいけませんね。
いろいろなFIREのかたち
ところで、さっき言っていた少し違う形のFIREってなんなの?
FIREをするには、莫大な資金を貯めないといけないことが前提になっています。
ライフスタイルの提案は再現性が非常に重要で、実行が現実的でないと結局一般の人には不可能なものとなってしまいますよね。
そこで、いろいろな種類のFIREが考え出されています。
そうだよ。いきなり一億円とか言われてもさ。
どんだけハードルが高いんだよ。
FIREの種類は大きく分けると4種類ですね。
けっこうありますね。
1️⃣ファット・ファイア(Fat FIRE)
まずは、
1️⃣ ファット・ファイア(Fat FIRE)
資産収入のみで生活できるFIREです。資産がたくさんあって、そこから得られる配当などだけでとてもリッチな暮らしができる形です。
憧れるけれど、難しいやつだ。
2️⃣リーン・ファイア(Lean FIRE)
次に
2️⃣ リーン・ファイア(Lean FIRE)
このタイプも資産収入のみで生活するFIREです。
ファット・ファイアとの違いは、日々の暮らしがリッチかそうでないかですね。
倹約生活を送ることで少ない資産でも暮らしていく、というタイプのFIREです。
貯めないといけない資産を少なく設定する代わりに、慎ましい生活で生きていくという感じですね。
ちょっと現実的になりましたね。
3️⃣コースト・ファイア(Coast FIRE)
次は
3️⃣ コースト・ファイア(Coast FIRE)
資産収入のみでも生活できるけれども、趣味的に仕事もしていくスタイルのFIREです。
資産にゆとりはあるのでいつでも仕事を辞められるけれど、社会との関わりを持ち続けたい人におすすめです。
趣味程度とはいえ、仕事もするので生活にゆとりもあります。
仕事もしながら、自分の好きなことにも時間がとれそうな感じ。
4️⃣バリスタ・ファイア(Barista FIRE) ※別名サイドFIRE
最後に
4️⃣ バリスタ・ファイア(Barista FIRE)
別名サイドFIREともいいます。
「資産収入+労働収入」で生活するFIRE。要するるにセミリタイアですね。
もし自分を犠牲にするような働き方をしていれば、その仕事を辞めてもう少し自分の時間をつくれる仕事に変えてしまおう。という感じです。
完全なFIREは難しくても、この形なら必要な資産が少ないので実現性が高いですよね。
身近な人にもいそうな感じですね。
いろいろ種類がありますし、定義も説明する方々で少し違う場合もありますが、自分にはどのような形が向いているかを考えて自由を手に入れることが重要ですね。
バリスタFIREとサイドFIREの違い
資産収入+労働収入の、「労働収入」の種類の違いで名前が違います。
バリスタFIRE
労働収入部分が、軽い労働(例えばアルバイトや派遣労働)となります。
安定感と自由時間のバランスを取りつつ、FIREを目指します。
サイドFIRE
副業の延長など、自分のビジネスで収入を得るアプローチです。
好きなことを仕事にしながら資産収入にプラスして生活をします。
楽しみながら収入を得ることができますが、安定性には欠ける一面もあります。
ざっくりいうと、雇われているか、いないかの違いで、大枠は同じです。
FIREの意義
でも、最後のはFIREと少し違うんじゃなんですか?
いえ。立派なFIREだと思います。
FIREで重要なことは遊んで暮らすことではなく、
“自分の人生を生きること”
だと私は思います。
どういうこと?
死を目前にした人がする後悔で、もっとも多いことは?
私もそうですが、人はいつか必ず死を迎えます。それは全員が分かっていることなのですが、意識して毎日を暮らしている人は少ないです。
死を目前にした人がする後悔でもっとも多いのが
「働きすぎたこと」
だそうです。
また、上位にくるものは
「もっと(人生を)冒険しておけばよかった」
「もっと家族(大切な人)といる時間を持てばよかった」
だそうです。
そうなんだ・・・。
「自分はまだ若い」
と思っていると、あっという間に人生は終わっていきます。
明日事故で死ぬ可能性だってあります。
まあ、そんなことはみんな知っていると思うけれど。
そう。みんな知識としては知っているのです。
ですが、老後のためと思っていつまでもお金を貯め続けるひと。
またお金を得るために、つらい、切ないと思いながら自分のほとんどの時間を会社で消費しているひと。
そんな人は多いのではないでしょうか?
大多数はそうだと思う・・・。
大切な人と一緒に何かを体験する時間、子供とともに過ごす時間、両親とともに過ごす時間。
それらは、老後に取っておくことはできません。
今しかできなのです。
また、人生において、もっとも幸せを感じることの一つは”体験”ではないでしょうか?
悲しいですが、年をとればとるほど人の体は衰えていきます。
若いときの一日は、老後の一日と時間の長さは同じですが、体験可能なことは違ってくるかもしれません。
たしかにそうなのかもね。
でも仕方ないんじゃ・・・。
その“仕方ない”の考え方を変えるのがFIREというライフスタイルということですね。
一言でいうと“自分を大切にする生き方”だと私は思っています。
自分を大切にする生き方か・・・。
そして、その元手となる資産を増やすこと。
また、貯まった後の資産の運用をどうするかの技術を身に付けることが非常に重要だとも思っています。
また、老後に退職金など大きなお金が入ってから知識・経験不足のまま資産運用を始めて上手くいかない方が大勢います。
せっかく始めたのに、残念なことだね。
投資に”絶対上手くいく”という方法はありません。
なので、FIREを目指さなくても若いうち、そして少額からでも資産運用の経験を積んでおくことが重要なのです。
なるほど。ぼくらもがんばらなくっちゃ。
近いうちに、投資の方法だけでなく、資産を貯めるためのライフスタイルについても紹介していきますね。