積立投資のタイミングに正解はあるの?
一括投資 と 毎月積立 どちらがいいのか。
そのヒントを探ります。
積立投資をするときの投資タイミングって、いつが正解なんですか?
毎月積立が良いのか、自分でタイミングを図るのが良いのか迷います。
どうせなら、一番安いときに買いたいよねぇ。
投資タイミングをどうするかは迷いますよね。
それについては、米国大手証券会社「チャールズ・シュワブ社」の有名なレポートがあるので、今回はそれを参考に解説しますね。
投資のタイミング いつが正解?
投資は一番安いときに買って、一番高いときに売る。
このタイミングで取引できれば最高です。
ですが、現実にはこのような完璧なタイミングで取引することは不可能。
投資格言にも「頭と尻尾はくれてやれ」というものがあります。
でも、そうなると、いつ購入するのが良いのか迷いますよね。
今回は、チャールズ・シュワブ社の有名なレポートの内容を簡単に解説します。
5 人の架空の長期投資家が、 2022 年までの 20 年間、毎年初めに 2,000ドルを受け取り、そのお金を S&P 500指数に、それぞれ異なるタイミングで投資するとします。
- 完璧な投資タイミング(その年最低の終値)で投資した場合
- 毎年最初の取引日に年1回投資した場合
- 月初めに毎月投資した場合(ドルコスト平均法)
- 最悪のタイミング(その年最高の終値)で投資した場合
- 現金投資(国債を代用)し、株式投資をしなかった場合
この5パターンでそれぞれが株式投資をした場合、20年後にどうなるか?
という研究です。
この研究では、この他にも開始年が異なる合計78パターンを調べています。
めっちゃ面白そう!
完璧なタイミングと 最悪のタイミング の差
順位結果を簡単にまとめると以下の通りです。
- 優勝. 完璧な投資タイミング(その年最低の終値)で投資した場合
- 2位. 毎年最初の取引日に年1回投資した場合
- 3位. 月初めに毎月投資した場合(ドルコスト平均法)
- 4位. 最悪のタイミング(その年最高の終値)で投資した場合
- ビリ. 現金投資(国債を代用)し、株式投資をしなかった場合
「完璧な投資タイミング」の成績を基準(100%)とした場合の、各投資方法の 成績比率
順位 | 投資方法 | 完璧なタイミングを 基準にした比較 |
---|---|---|
1 | 完璧な投資タイミング | 100%(基準とする) |
2 | 年1回 年初に投資 | 約92% |
3 | 月初めに毎月投資 | 約90% |
4 | 最悪のタイミング | 約81% |
5 | 現金投資(国債を代用) | 約32% |
最高の結果を出したのは、
「完璧な投資タイミング(その年最低の終値)で投資した場合」
でした。
まあ、当然ですよね。
ここで面白いことは、
完璧な投資タイミングと最悪のタイミングとの、20年間の資産合計差が約20%程度しかなかった という結果が出ていることです。
20年も期間があれば、どんなに運が悪いタイミングで投資をしても、平均購入単価は均されていくってことか。
この研究では78期間(例: 1926-1945、1927-1946 など)のシミュレーションを行っていますが、そのうち68期間では、この順位は全く同じだったとのことです。
貯蓄から投資へ の理由
さらに、この研究で注目する点は、
最悪のタイミングで投資した場合でも、 株式投資をしなかった場合(現金投資(国債を代用))の約2.5倍の資産額になったという結果です。
最悪のタイミングでも、現金投資の場合と比べて、そんなに増えるの!?
つまり、
「もっと株価が安いタイミングで投資を開始したい」とか、
「買ったとたんに株価が下落したら怖いから、始めるのがこわい」
などと理由をつけて投資を始めないことは、長期投資においては無用の心配といえそうです。
投資を始めたいと思ったら、思い立ったらすぐに始めた方が良い結果が出そうですね。
あくまで、長期投資を前提としていますが、「NISAを始めたい」と思っている初心者は、そもそもNISAが長期投資を前提としているので、当てはまると思います。
投資を早く始めた方が良い理由については
こちらも参考になります
ぜひご覧ください👇🏻
完璧なタイミングは不可能
このレポートでは、完璧なタイミングという架空の投資方法が存在していますが、現実には「完璧なタイミングで毎回投資する」ということは不可能です。
完璧なタイミングに少しでも近づきたい欲求はよくわかります。
ですが、ここで重要なことは、
完璧なタイミングでの投資を 必死に狙う場合と、苦労せずに毎月(もしくは毎年)同じタイミングで投資する場合は、結果に思うほど差が出ない
ということです。
「完璧」は不可能ですので、結果はさらに縮まるはずです。
ドルコスト平均法がとても優れた投資法だということが、よくわかります。
毎月と毎年、どっちがいいの?
毎月投資よりも、年初にまとめて投資した方が成績がいいんですね。
毎年年初に投資すれば、マーケットに参加する期間がそれだけ長くなります。
その効果が大きいようですね。
ですが、年1回(年初)を選んでも、毎月投資を選んでも、20年後の資産合計額では数パーセントしか差がつきません。
なんだ。
どっちを選んでも、あんまり違わないね。
短期的には市場のランダム性の影響を受けますので、差は出てしまいます。
ですが、長期的に見るとこれらの差は相殺されて、最終的な結果はあまり変わらないということがわかりますね。
毎月投資のメリット
ということは、毎年はじめに一括投資が一番良いってことになるね。
なんかこわいけれど。
このレポートの結果だけ見るとそうなりますが、
単純に年1回年初に投資するのが良いとも言えません。
どうして?
一番は心理的な影響ですね。
やはり、一括投資は「こわい」ですよね。
理屈は分かっていても、価額が下落すると不安な気持ちになるものです。
それで、投資をやめてしまう人が多いことも事実です。
そうなるくらいなら、心理的負担の少ない毎月投資の方が優れているという見方もできます。
なるほど。
そうなれば結局、「 現金投資(国債を代用)し、株式投資をしなかった場合」の人になっちゃうってことか。
そのとおり。
毎月投資は
- 投資額が少額で済む
- 心理的な負担が少なく、継続しやすい
- 計画性を持って投資できる
など、メリットも多いです。
これは、毎日積立にも同じことがいえます。
どの方法を選ぶかは、個人の投資スタイルや性格によって異なるといえますね。
ぼくには、毎月積立が向いていそうです。
また、毎回のことですが、これらの情報は過去の結果を元にしていて、未来を予測するものではありません。
未来がどうなるかは誰にも分かりませんので、投資判断は自分でよく考えて行うことが必要です。
今回参考にさせて頂いたWebページのリンクを貼っておきます。
詳しく知りたい方は、こちらを見てくださいね。
参考:チャールズ・シュワブ 「Does Market Timing Work?」